つきの日記

関ジャニ∞と佐藤勝利さん

舞台「パラダイス」を観劇した

舞台「パラダイス」を観劇した感想です。

 

詐欺グループの話、と聞くと自分の生活からは遠い存在で、騙す側を演じる丸山さん、ちょっと楽しみな部分もありつつ雲の上の話に触れるような気持ちで劇場に向かった。

場所は森ノ宮ピロティホール。2020年に公演予定だったが新型コロナウイルス感染症拡大を理由に公演中止となった本舞台が、2022年に改めて開演した。

早めに会場入りし、パンフレットを読めるだけ読んでおこうと思い、席に着く。席についた時点ではOfficial髭男dismのPretenderが劇場で流れていた。…舞台にしては珍しい選曲だな、と思いつつも、次々に聞こえてくるのはどれも誰もに馴染みのあるポップスばかり。

 

パンフレット読むまで知らなかったのだが、わたしは丸山さんが「結婚詐欺師役」だと思い込んでいた。しかしそれは、2020年版パラダイスの設定で、2022年版パラダイスでは「詐欺グループのメンバー」の役となっていた(結婚詐欺をする丸山さんちょっと(≒かなり)気になっている)。開演に至るまでの背景を読むと、東京オリンピックで湧き上がる東京、の賑やかで穏やかな空気感の裏で巻き起こる詐欺を舞台としていたようで、なるほどこれは2020年の公演を前提に作られたストーリーだった。

それと同時に、時代の背景によって本舞台の設定にも変化を加えるような、繊細な、ニュアンスの重要な舞台だと知った。

 

舞台上でどんどん展開していく、詐欺グループの動向、その場面そのものには全く日常生活でそのシチュエーションは起こる気がしないものである。しかし、全てのシーン、全ての関係人物の持つ闇や苛々や鬱々とした感情が、「普通」に生きる全ての人が日常生活のいろんな部分に心当たりを持つものだった。

思い起こすと、通販でトラブルが起こるが責任転嫁をし続ける販売員に疲弊する姉、声を張り上げて電話をかける新入社員、必死に仕事する人を小馬鹿にする同僚、仕事後の上司相手に手加減しても圧勝しても絶対にダメなボーリング、老いていく両親…舞台となっている「詐欺」「殺人」といった非日常な事件に対して、これらはどれもが日常で起こる、私の知っている「不快感・不安感」だった。

この物語の登場人物は非凡な経歴の持ち主ではあるが、それによって「普通ではない」のにも関わらず何故か心当たりを持ってしまう「普通」の人であるという自覚を持つ観客の持つ違和感に意図的に自然と目を向けさせられた。それによって異常な世界と平常の世界の境はどこなのかと混乱させられた。

日常と非日常は表裏一体であり、且つわたしたちがいる(と自分では思っている)日常の世界とはっきりと境界線のある世界ではないということを感じた。

冒頭で述べた、観劇前の劇場内でOfficial髭男dismのPretenderを始め、J-popのヒット曲がループで流れていたというのも、観客の世界と舞台で描かれる世界は一続き、見る側の世界の延長上に間違いなくあるんだと思わせられるらものだった。

 

そんな舞台「パラダイス」見てかなりの期間、いい意味でこの世界観を引き摺りました…!面白かった!